
甲状腺とは
甲状腺とは
甲状腺は、首の前側、のどぼとけのすぐ下にある羽を広げた蝶のような形をした臓器です。女性の場合は6-16g、男性では6-20g程度の大きさです。通常の状態、つまり甲状腺が腫れていなければ、体表から触れて確認することはできません。甲状腺にしこりができたり、甲状腺が腫れるような病気の場合に触れることができます。
体の代謝をコントロールする「甲状腺ホルモン」を分泌する重要な役割を担っており、私たちの健康維持に欠かせません。
甲状腺ホルモンは、以下のような体のさまざまな機能を正常に保つ働きをしています。
甲状腺の機能に異常が起こると全身に影響が出るため、症状に気づいたら早めに検査を受けることが大切です。
甲状腺の機能が低下すると、疲れやすさや体重増加、寒がり、むくみなどの症状が現れる「甲状腺機能低下症」になります。逆に、機能が過剰になると、動悸や体重減少、発汗の増加、イライラなどの症状を伴う「甲状腺機能亢進症」となります。
免疫の異常によって甲状腺に炎症が起こる体質である「橋本病」や「バセドウ病」などの疾患もあります。ほかにも甲状腺にしこりができる疾患に「甲状腺腫瘍」があります。
甲状腺の病気は症状がゆっくりと進行することが多いため、気づかれにくいです。体調の変化を感じたら、早めに甲状腺専門のクリニックで検査を受けることをおすすめします。当院では甲状腺専門クリニックとして正確な診断と適切な治療を提供し、長く患者さまの健康を支えていきます。甲状腺疾患は、早期発見と継続的な管理が重要です。また、刊行されているガイドラインだけでは不十分なことも多いため、気になる症状がある方は、ぜひ甲状腺専門医にご相談ください。
甲状腺ホルモンは、首の前側にある甲状腺で作られるホルモンで、全身の代謝をコントロールする重要な役割を担っています。甲状腺ホルモンは主にT3(トリヨードサイロニン)とT4(サイロキシン)という2種類があり、これらが適切なバランスで分泌されることで、私たちの体は正常に機能します。甲状腺ホルモンが過剰になると(甲状腺中毒症/甲状腺機能亢進症)、動悸や体重減少、手の震え、汗をかきやすくなるなどの症状が現れます。反対に不足すると(甲状腺機能低下症)、疲れやすさ、寒がり、むくみ、体重増加、物忘れ、うつ症状などが生じます。
甲状腺ホルモンのバランスは健康に直結するため、気になる症状がある方はぜひお気軽にご受診ください。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝が異常に高まる疾患です。甲状腺機能亢進症という名前が有名ですが、正確には血液中に甲状腺ホルモンがたくさんある状態を甲状腺中毒症、そのうち甲状腺がホルモンを多く作りすぎていることが原因であるものを甲状腺機能亢進症といいます。甲状腺機能亢進症には、バセドウ病や機能性結節が該当します。
一方で、甲状腺自体は適量のホルモンを合成しているにも関わらず、甲状腺内に貯蔵しているホルモンが漏れ出てしまうために甲状腺中毒症となる病態があります。亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎は、甲状腺ホルモンを作っているのではなく、炎症によって甲状腺が破壊されることで甲状腺ホルモンがたくさんこぼれていく病気です。そのため亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎を併せて破壊性甲状腺炎とよぶこともあります。
症状:動悸、体重減少、発汗過多、手の震え、眼球突出(バセドウ病の場合)
甲状腺ホルモンの分泌が低下し、代謝が低下する疾患です。原因としては橋本病が多いですが、ほかにも遺伝性、薬剤性や放射線照射後の甲状腺萎縮によるものなど、様々です。よく橋本病と甲状腺機能低下症を混同される方がいますが、「橋本病」は甲状腺に慢性炎症が起こりホルモンを出しにくくなる体質を指し、必ずしも橋本病の方全員が甲状腺機能低下症を来たすというわけではありません。女性の10人に1人は橋本病だという報告もありますが、実際に甲状腺機能低下症を併発しているのはそのうちの3割程度です。
症状:疲れやすい、寒がり、むくみ、体重増加、うつ症状、物忘れ
甲状腺にできる結節(しこり)のうちの一部を甲状腺腫瘍といいます。甲状腺腫瘍は、良性腫瘍と悪性腫瘍(甲状腺癌)に分かれます。甲状腺腫瘍は自覚症状が少ない場合もあるため、定期的な検査が重要です。
良性腫瘍は大きくなることもあれば小さくなることもあり、場合によっては吸収されて消失することもあります。一方で悪性腫瘍は徐々に大きくなり、消えることはほとんどありません。悪性度の高いものではしこりに痛みを伴うこともあり、リンパ節転移も起こりえます。一方で甲状腺癌の90%以上を占める乳頭癌では進行が緩徐なことも多く、しこりが1cmよりも小さいものであればすぐに手術はせずに経過観察が可能な場合もあります。
良性か悪性かを確定診断するためには手術で摘出した検体を隅々まで確認しなければならず、手術に踏み切るメリットデメリットを勘案して方針を決めていくことが重要です。
受診いただいた患者さまには血液検査と超音波検査を行います。これらの結果は、原則、当日にご説明いたします。
血液検査と超音波検査を行うことで、ほとんどの甲状腺疾患の診断が可能です。
血液検査では、甲状腺ホルモン値や抗体価、生化学検査などを行い、原因疾患を鑑別します。超音波検査では、甲状腺の大きさや内部の見え方、しこりの有無、血流の評価などで原因疾患を鑑別します。
脈の速さの異常や脈が乱れているなどの症状がある場合には、心電図の検査を行います。
また、甲状腺の中にしこりがある場合、必要に応じて細胞診検査を行うこともあります(予約制)。
ごくまれに、血液検査と超音波検査、細胞診検査では鑑別がつかないこともあり、その際には近隣施設(東邦大学医療センター大森病院など)で放射線検査や生検をお願いすることがあります。CT検査、MRI検査が必要な際には提携している牧田総合病院で検査を撮ってきていただくことも可能です。当院で牧田総合病院の検査空き状況を確認し日時の予約をいたします。
出生時の検査結果、妊娠中や産後の状態、家族歴、癌の治療歴などが疾患の鑑別に有用となることもありますので、そのような場合には診察時にぜひお話しください。
当院は、紹介状不要で診察を受け付けております。予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。甲状腺に関わる血液検査、超音波検査結果は原則当日にお返しいたします。
蒲田駅徒歩2分、エレベーターも完備しており、ベビーカーや車いすの方も来院可能です。
「もしかして甲状腺の病気かも?」と思ったら、早めに専門クリニックでの検査をおすすめします。何も見つからなかったとしても、『甲状腺は正常であった』という結果が体調不良の原因解明へ大きな一歩となります。
当院では、甲状腺専門医が診察し、一人ひとりに合った治療をご提供いたします。皆さまのご来院をお待ちしております。
ご希望の日にちの予約が埋まっている場合はお電話でご相談ください。
院長
蛭間 重典(ひるま しげのり)
2019年 | 日本甲状腺学会トラベルグラント |
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2023年 | 日本甲状腺学会ロシュ若手奨励賞 (Young Investigator Award: YIA) |
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2024年 | 甲状腺病態生理研究会研究奨励賞 |
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