妊娠と向き合う「母性内科」──母性内科診療プロバイダーとは|ひるま甲状腺クリニック 蒲田|東京都内、大田区蒲田駅の甲状腺専門診療|ひるま甲状腺クリニック蒲田

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妊娠と向き合う「母性内科」──母性内科診療プロバイダーとは

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妊娠と慢性疾患に対応する「母性内科」──母性内科診療プロバイダーとは

はじめに:認定のお知らせと当院の体制

皆さんこんにちは、ひるま甲状腺クリニック蒲田 院長の蛭間重典です。このたび、私が日本母性内科学会より「母性内科診療プロバイダー」に認定されました。妊娠・授乳期はホルモン環境が大きく変化し、甲状腺疾患をはじめ高血圧・糖代謝異常などの内科的リスクが顕在化しやすい時期です。当院は、甲状腺専門クリニックの強みをいかし、妊娠前(プレコンセプション)から産後まで、母体と赤ちゃん双方の安全を第一に、最適な医療を提供します。

母性内科とは?——分野の定義と役割

母性内科は、妊娠を希望する女性・妊娠中・産後の女性に対して、内科的な視点で診断・治療・予防を行う領域です。妊娠に伴う循環動態の変化やホルモン変動は、既往症の悪化や新規発症(例:妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、甲状腺機能異常など)を引き起こすことがあり、一般内科とは異なる安全な薬剤選択・モニタリングが求められます。

海外では「Maternal Medicine」として確立しており、産科と内科の協働モデルが標準です。日本でも日本母性内科学会を中心に体制整備が進み、妊娠合併症の予防・早期発見・適切治療に寄与しています。

なぜ今、母性内科が必要なのか(社会背景と医療ニーズ)

  • 妊娠年齢の上昇:晩婚化に伴い、妊娠時点で高血圧・糖代謝異常・自己免疫疾患などの基礎疾患合併妊娠が増えています。
  • 薬物療法の課題:妊娠中・授乳中は薬の胎児安全性と母体の安定化を両立させる必要があり、専門的判断が不可欠です。
  • 妊娠の個別化:個々の体質・合併症・生活背景に応じたオーダーメイド治療が求められます。

こうした背景に対し、母性内科は産科と内科の橋渡しとして機能し、母児双方の安全性を最大化します。

「母性内科診療プロバイダー」の資格要件

本資格は、日本母性内科学会が定めた下記の条件を満たした医師に付与されます。患者さまにとって専門性の客観的指標となる制度です。

  1. 学会の研修計画に従い、少なくとも丸2年以上の母性内科学の臨床研修を経験していること。
  2. 日本産科婦人科学会専門医、または日本専門医機構が認定する基本領域学会の認定医・専門医資格を有すること。
  3. 日本母性内科学会が主導するプロバイダーコース Basic/Advancedを修了していること。

当院では、これらの要件を背景に、妊娠を希望される段階からの薬剤見直し、妊娠中のモニタリング、産後の再調整までを一貫して支援します。

妊娠と甲状腺の深い関係(当院の専門性)

甲状腺ホルモンは胎児の脳神経発達に不可欠です。妊娠中はhCGやエストロゲンの影響でTSHやFT4が変動し、既往のバセドウ病・橋本病は病勢が変わりやすくなります。適切な管理が行われないと、流産・早産・胎児発育遅延などのリスクが上昇します。

当院では甲状腺専門医として、「妊娠と甲状腺」の診療に注力しています。TSH・FT4の目標値設定、妊娠期に安全性が担保された薬剤選択と用量調整、TRAbの評価、新生児リスクの見極めまで、母児双方の安全性を最優先に診療します。

統計でみる現状:年齢、合併症、甲状腺疾患

国内外の報告を概観すると、妊娠年齢の上昇に伴い、合併症を有する妊娠の割合は増加傾向にあります。甲状腺機能異常(潜在性含む)は妊婦の数%規模で見つかるとされ、適切なスクリーニングと早期介入が予後改善に寄与します。また妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群の頻度も一定割合で認められ、管理の質とアウトカムの関連が示唆されています。

重要なのは、「妊娠前からの準備(プレコンセプションケア)」と、妊娠成立後の系統的なモニタリングです。これにより、薬剤安全性の確保、合併症の重症化予防、分娩・新生児期のトラブル最小化が期待できます。

モデルケース1:甲状腺機能亢進症を合併した妊娠

背景:30代前半、バセドウ病の既往。内服でコントロール中に妊娠判明。動悸・手指振戦・体重減少が目立ち、検査でFT4高値・TSH抑制、TRAb陽性。

対応:妊娠週数と重症度を踏まえ、母体・胎児双方の安全性が担保される内服範囲へ用量を迅速調整。TSH・FT4を短い間隔で追跡し、胎児健診は産科で厳密化。新生児集中治療室(NICU)が併存する総合病院でのお産に切り替え。

経過:数週間で動悸・焦燥感が軽減し、体重も安定。妊娠中期にかけてFT4は目標域に収束。分娩は合併症なく経腟分娩。新生児は出生後スクリーニングで問題を認めず、母子ともに退院。

学び:バセドウ病合併妊娠では、「短周期の検査フォロー」と「母体症状の可視化」が鍵。治療は過不足なく、必要最小限を心がけます。

モデルケース2:橋本病と不妊治療後の妊娠

背景:30代後半、橋本病でチラーヂンSを補充中。TSHは上限近くで推移し、不妊治療を開始。妊娠判明直後の検査でTSH軽度高値、FT4は下限付近。

対応:胎児神経発達への配慮から、妊娠初期にチラーヂンSの用量を増量。栄養・サプリメント(葉酸など)や睡眠指導も並行。TSHは妊娠週数に合わせた目標域を維持しました。

経過:妊娠中期以降も甲状腺機能は安定。分娩は無事経腟分娩、産後はホルモン変動による疲労感が強く、産後に多い無痛性甲状腺炎を念頭に定期フォローを実施。一過性の甲状腺中毒症は数か月で安定化し、授乳も継続できました。

学び:橋本病と不妊治療では、「妊娠前からのTSH調整」と「妊娠初期の迅速な内服量の見直し」が予後を左右。産後の再変動にも備えた計画が重要です。

当院の診療フローと連携体制

  1. 初診(妊娠前〜妊娠初期):既往・内服・家族歴・生活習慣を丁寧に整理。採血(TSH/FT4/抗体、一般内科項目)、必要に応じて心電図等。
  2. 治療計画:妊娠週数と重症度に応じて薬剤を最適化。安全性(母児)・有効性・利便性のバランスを重視。
  3. モニタリング:定期診察で甲状腺ホルモンを確認。遠方で当院への通院が負担になる方は、地元のかかりつけクリニックと連携を図る。
  4. 連携:産科・小児科・他内科(腎・循環器)と密な情報共有。分娩前後の急変に備える。
  5. 産後フォロー:ホルモン再変動・育児期の睡眠不足による体調乱れに寄り添い、無理のない復職・授乳継続を支援。

受診の第一歩として、オンライン予約をご利用ください。紹介状は任意ですが、検査結果・お薬手帳があるとスムーズです。

よくある質問(受診の目安・タイミング)

Q. 妊娠を考えています。今からできることは?

A. プレコンセプションケアとして、既往症の整理、内服の見直し、TSH・血圧・血糖・体重のチェックを行います。理想は妊娠前からの目標値達成です。

Q. 妊娠中に甲状腺の数値がズレました。すぐ受診すべき?

A. 自覚症状の有無にかかわらず、早めのご相談を推奨します。数週単位での調整が母児の安全につながります。

Q. 薬は赤ちゃんに影響しますか?授乳中は?

A. 妊娠週数・重症度・薬剤特性で判断します。母体の安定は胎児の安全に直結します。授乳中も安全域の広い薬を選択し、必要最小限で管理します。

まとめ:妊娠を諦めないために

母性内科は、妊娠と慢性疾患の両立を支える医療です。日本母性内科学会の母性内科診療プロバイダー認定は、妊娠前から産後まで途切れないサポートを提供できる体制の証でもあります。妊娠を望む時、妊娠中に不調がある時、産後に体調が揺らいだ時——どうぞ一人で抱え込まず、まずはご相談ください。

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ひるま甲状腺クリニック蒲田
院長:蛭間重典(日本甲状腺学会専門医/次世代研究者の会NexT-JTAメンバー)


JR蒲田駅 徒歩2分|甲状腺専門クリニック|予約優先制