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甲状腺は首の前側にある小さな臓器ですが、体のエネルギー代謝や成長、心臓や脳の働きにまで影響を与える重要な役割を担っています。普段はあまり意識することのない甲状腺ですが、その機能に異常が起こると全身にさまざまな症状が現れる可能性があります。症状は軽度なものから重度なものまで幅広く、他の病気と勘違いされやすいのも特徴です。
例えば、疲れやすさや体重の変化、動悸や発汗といった症状が現れても、単なる生活習慣やストレスの影響と思ってしまう方も少なくありません。しかし、実際には甲状腺ホルモンの過剰分泌や不足が関与していることもあり、放置すると症状が進行するケースもあります。
本記事では、「甲状腺に異常がある場合に起こり得る症状」について解説します。
甲状腺と体の関係
甲状腺(こうじょうせん)とは、のど仏のすぐ下にある、蝶が羽を広げたような形をした臓器で、全身の新陳代謝や成長などを調節する「甲状腺ホルモン」を分泌する器官です。甲状腺はヨウ素を取り込み、甲状腺ホルモンを生成して血液に分泌しています。このホルモンは代謝を調整する役割を持ち、心臓や消化器、脳神経系にまで働きかけており、甲状腺に不調が生じると全身の働きに影響し、体のバランスが崩れやすくなります。
ホルモンとは?
人の血液には多くの種類のホルモンが存在しています。女性ホルモンや男性ホルモン、成長ホルモンといった名称で知られるものに加えて、アドレナリンやステロイド、インスリンなどもホルモンの一種です。現在では100種類を超えるホルモンが確認されており、それぞれが異なる役割を持ちながら体の機能を支えています。
ホルモンは、体内で作られ血液を通じて全身に運ばれ、細胞や器官の働きを調整するごく微量の化学物質を指します。わずかな量でも体に大きな影響を与える特徴があり、代謝や成長、精神面の安定など、健康な生活に欠かせない存在です。
甲状腺ホルモンとは?
甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)があります。
甲状腺ホルモンは、脳にある下垂体という臓器から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されています。 甲状腺ホルモンが不足してくるとTSHが増加して甲状腺を刺激します。 逆に、甲状腺ホルモンが何らかの理由で増えすぎるとTSHの分泌は抑えられます。
甲状腺の働きが活発になりすぎると「甲状腺機能亢進症」、逆に不足すると「甲状腺機能低下症」と呼ばれます。それぞれ症状は異なり、放置すると悪化するため早期発見が大切です。
甲状腺機能亢進症の症状
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、体の代謝が異常に高まり、常にエンジンがかかっているような状態になります。その結果、動悸や息切れ、手の震え、汗の量の増加などが目立ちます。体重は食欲があるにもかかわらず減少するケースが多く、心身ともに消耗しやすくなります。
また精神的にも落ち着きがなくなり、イライラや不安感が強くなる場合があります。眠りが浅くなったり、集中力が低下したりすることも少なくありません。こうした症状は日常生活に支障をきたしやすく、早めの受診が必要です。
甲状腺機能低下症の症状
甲状腺ホルモンが不足すると、代謝が低下して体の働きが全体的に鈍くなります。強い疲労感や倦怠感が続き、体が重く感じられることが特徴です。体重が増えやすくなり、むくみや冷え性が悪化することもあります。
さらに、気分の落ち込みや記憶力の低下、皮膚の乾燥や抜け毛といった症状もよく見られます。進行すると声がかすれたり、顔の表情が乏しくなったりするケースもあるため、単なる老化現象と混同せず注意が必要です。
甲状腺腫瘍やしこりによる症状
甲状腺にしこりや腫瘍ができる場合もあります。ほとんどは良性ですが、中には悪性腫瘍、つまり「甲状腺がん」の可能性もあるため慎重な判断が求められます。首の前側にしこりが触れる、飲み込みにくさを感じる、声がかすれるといった症状は受診のきっかけになります。
大きなしこりがあると外見上も目立つ場合があり、本人が鏡で気付くこともあります。腫瘍が神経や気管を圧迫すると、呼吸がしにくくなったり声が出にくくなったりすることもあり、早期診断と治療が重要です。
女性に多い甲状腺の異常
甲状腺の病気は男性よりも女性に多く、特に出産や更年期といったホルモンバランスの変化に影響を受けやすいとされています。産後に一時的な甲状腺炎が起こることがあり、体調不良の原因が分からず育児に支障をきたす場合もあります。
また、更年期症状と似た不調が甲状腺異常によるものだったというケースも少なくありません。疲れやすさや体重変化、気分の不安定さなどが長引く場合は、婦人科だけでなく甲状腺の検査も視野に入れることが大切です。
受診の目安
甲状腺に異常がある場合、症状は全身に及び、日常生活に大きな影響を与えます。しかし、症状が多岐にわたり他の病気と似ているため、自己判断で放置してしまうケースもあります。甲状腺の病気になると腫れてくるので、首の下が太くなったように見えてきます。
気になる症状が続くときや原因不明の体調不良があるときは、早めに専門医に相談することが大切です。特に動悸や息切れ、体重の急激な変化、首のしこりや声のかすれといったサインが見られる場合は、受診を検討すべきです。
大田区蒲田駅のひるま甲状腺クリニック
当院は、甲状腺疾患に特化した専門クリニックです。甲状腺の異常は、自覚症状が分かりにくいことも多く、気づかないうちに進行しているケースが少なくありません。体のだるさや体重の変化、むくみや動悸など、一見すると他の病気と間違われやすい症状も、甲状腺ホルモンの影響による可能性があります。私たちは、患者さまの「何かおかしい」と感じる不調に向き合い、適切な治療へつなげることを大切にしています。
喉や甲状腺に気になる症状がございましたら、大田区蒲田駅の「ひるま甲状腺クリニック」にご相談ください。