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甲状腺ホルモンと精神疾患──双極性障害に似た症状とその見逃されやすさ
こんにちは。ひるま甲状腺クリニック蒲田、院長の蛭間重典です。
「気分の波が激しい」「些細なことでイライラしてしまう」このような症状が、実は甲状腺ホルモンの異常によって引き起こされていることがあります。
甲状腺ホルモンは、代謝だけでなく脳や感情の働きにも深く関与しています。この記事では、精神疾患と間違われやすい甲状腺疾患の実態について解説します。
甲状腺ホルモンと精神のつながり
甲状腺ホルモン(T3・T4)は、細胞の代謝を活性化するだけでなく、セロトニンやアドレナリンといった神経伝達物質の調整にも関与します。
そのため、甲状腺ホルモンの異常は感情・気分・意欲などの変調として現れることがあります。
甲状腺機能亢進症:躁状態とよく似た症状
甲状腺機能亢進症(例:バセドウ病)では、代謝が過度に促進され、以下のような症状が現れます:
- 動悸・不眠・多汗
- 多弁・焦燥感・怒りっぽさ
- 注意力の散漫・疲労感
これらの症状は双極性障害の躁状態と極めて似ており、最初に精神科で発見されることもあります。私の経験でも、脂汗を滲ませながら前のめりで多弁に話す患者さんをみると「おや?」と勘づくことが多いです。
また、過去には「ホラー映画の不安をあおるBGMが常に流れているよう」と表現されたことがあります。これは体内の交感神経の高ぶりに由来する不安と焦燥感を反映しています。
甲状腺機能低下症:うつ・認知症と誤診されやすい
甲状腺機能低下症では、以下のような症状が出ます:
- 無気力・抑うつ
- 記憶力や集中力の低下
- 言葉が出にくい・眠気
これらはうつ病や高齢者の認知症と誤診されやすく、見過ごされることがあります。甲状腺ホルモンを補充することで症状の改善を見込めるため、正確な診断が求められます。
甲状腺ホルモン検査を受けるべき方
以下のような方は、甲状腺機能検査をおすすめします:
- 抗うつ薬や安定剤が効きづらい
- 動悸や体重変化などの身体症状がある
- 気分の波が周期的に出る
- 無気力・記憶力低下がある
まとめ:精神症状の裏に甲状腺異常が隠れているかも
- 甲状腺ホルモンは感情や認知機能に影響を与える
- 躁・うつ・認知症様の症状に似た変化を起こす
- 血液検査で診断し、治療すれば症状の改善が期待できる
「性格のせい」や「年齢のせい」で片付けず、甲状腺専門医にお気軽にご相談ください。 当院では甲状腺ホルモン・抗体・エコー検査を通じた正確な診断と治療を行っています。
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ひるま甲状腺クリニック蒲田
院長:蛭間重典(日本甲状腺学会専門医/次世代研究者の会NexT-JTAメンバー)
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