
当院で受けられる検査
当院で受けられる検査
甲状腺は、のどぼとけ(甲状軟骨)の下に位置する臓器で、蝶が羽を広げたような形をしています。甲状腺ではヨウ素(昆布に多く含まれるミネラル)を材料として甲状腺ホルモンを作り出しており、甲状腺ホルモンは、体の発育や成長、代謝などに欠かせない働きをしています。この甲状腺に結節・腫瘤(はれもの、しこり)ができたとき、良性か悪性(癌)かを判断するために行う検査が甲状腺穿刺吸引細胞診です。甲状腺超音波(エコー)検査で腫瘤の位置を確認しながら、細い注射針を直接腫瘤に刺して細胞を吸引し、採取した細胞を顕微鏡で観察して診断します。
通常、大学病院や地域の総合病院などの大きな病院で行われていることの多い検査ですが、当院ではこの検査を施行することが可能です。穿刺吸引細胞診は、超音波検査で診ただけでは判断が難しい腫瘤内部の詳しい情報を得たり、超音波検査での診断をより確かなものにしたりするために行われる検査です。
検査による合併症としては、迷走神経反射や出血、痛みなどがあります。
当院の甲状腺穿刺吸引細胞診の検査は、甲状腺にしこりのあるすべての患者さまに一様におすすめするわけではありません。原則、日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)甲状腺用語診断基準委員会の指針に準じ、甲状腺専門医が検査の必要性を吟味したうえで、必要な方に検査することをご提案いたします。簡単にまとめますと、大きいしこりや悪性を強く疑うしこりがその適応に入っております。
また当院の甲状腺穿刺吸引細胞診の検査は、日本乳腺甲状腺超音波医学会(JABTS)の認めた、甲状腺超音波ガイド下穿刺診断専門医である副院長が施行いたします。同医師は、これまでも東邦大学医療センター大森病院や伊藤病院でも細胞診検査を行ってまいりました。痛みや出血などのリスクも伴うため、医師が説明したのちに同意書をお渡しし、同意いただいた方のみに検査を行っております。
超音波機器の探触子(プローブ)を首に当て、しこりを画像で確認しながら、しこりの内部の細胞を採取します。甲状腺は首に位置するため、そこに注射針を刺すことが怖いと感じられるかもしれませんが、針を刺している時間は数秒程度ですので採血より短い時間となります。針の太さは採血で使用するものと同じであり、痛みの程度も似ております。もちろん痛みの感じ方は人それぞれですので、まったく痛くないとおっしゃる方も、強い痛みを感じたとおっしゃる方もおられます。
検査の準備から穿刺後に針を刺したところを少し押さえておく時間を含めると、全ての工程が30分程度で終了します。検査後当日は、念のため無理は避けていただきますが、基本的に生活は通常通りで構いません。
採取した細胞は、病理検査の専門施設に提出し、顕微鏡により悪性細胞の有無やとれた細胞の状態などを判定してもらいます。検査結果は1週間程度でわかりますので、外来診察にてお話させていただきます。
考えられるものとして以下の内容が挙げられます。
血液を固まりにくくする薬を服用されている方や、アルコールなどの消毒薬にアレルギーのある方はお申し出ください。
首もとが開くような服装でご来院ください。食事に関する制限はございません。
腫瘍によっては、細胞診検査では診断をつけることができないものもあります。
未分化癌やリンパ腫などは治療に組織診が必要であり、乳頭癌などに比べて病気の進行が速いことが多いため、組織診の可能な近隣の施設(東邦大学医療センター大森病院など)にご紹介させていただきます。
甲状腺ホルモン、サイログロブリン値や、特定の悪性腫瘍で上昇する採血項目などを検査します。
どんなしこりなのか(大きさ、形、血流など)をチェックします。
必要時に適宜行います。
院長
蛭間 重典(ひるま しげのり)
2019年 | 日本甲状腺学会トラベルグラント |
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2023年 | 日本甲状腺学会ロシュ若手奨励賞 (Young Investigator Award: YIA) |
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2024年 | 甲状腺病態生理研究会研究奨励賞 |
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